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異臭騒動
原因不明の居心地の悪さ
異臭
入居後、ドマーニの快適な環境に満足していたが、一つだけどうしても我慢できないことがあった。
それは更衣室の臭い。
わが家は更衣室に勝手口がある。
母が畑で作業をした後で、そのままお風呂に入れるように、
そのようなレイアウトにした。
勝手口周辺には、母の作業着やドロの着いた長靴が無造作に脱ぎ捨てられている。
時には収穫した野菜が、いつの間にか忘れられて干からびていることもある。
入居一ヶ月した頃には、
「更衣室が臭い」という家族の不満は急激に高まり、我慢の限界を超えるようになった。
更衣室の扉を開けていると、他の部屋にも臭いが浸入してくる。
臭いは、たとえるならドブのような嫌な臭い。
母以外の家族全員が、母が放置している荷物が放つ臭いが原因だと決めつけていた。
他に臭いの原因は考えられなかったからだ。
芳香剤を複数使っても全く効果なし。
ただ、母の習慣は以前の家から同じだった。古い家では気にならずに、新居で我慢できないのは気密性が高いので
悪臭がこもってしまうからだと思った。
仕方ない、母の荷物は家の中に持ち込ませずに、物置を購入し外に置いて、その中に全部入れてもらうしかないと思った。
原因追求そして原因発見
母の荷物が悪臭の原因であることは疑いようがなかったが、物置を買う前に、母に対策を迫ることにした。
「とにかく臭い。衣服は脱ぎっ放しにせずに洗濯して! 汚い靴は洗うか、外に置いて!」と強い口調で母に言った。
「私の持ち物は、そんなに臭くはない」と母。
「野菜とか、そのまま放置してあるのも片付けてよ! 腐っているのがあるんじゃないの!」
「そんなことはない」と母。
険悪な雰囲気。実の親子は言葉に遠慮がない。
仕方がない。気が進まないが、臭いの原因を一つ一つ確認することにした。ああ、嫌な作業だ。
どれも、ドロが着いていて汚いけど、不思議なことに耐えられない悪臭というワケではなかった。
多分、臭いを確認している間に、嗅覚が麻痺してしまったとしか思えなかった。本当に嫌な作業。
しかし、どうも府に落ちない。臭って来るのは確かなのに、原因を特定できないなんて。
おそらく、全体として臭いのだろう。
「どうでもいいから、全部キレイにして。この荷物以外に原因はないんだから!」とムキになる私。
それから、母はそれなりに清潔にし始めた。しかし、臭いは減少するどころか、春が近付くに連れて更に酷くなった。
ただ、全く臭わない日があったかと思うと、翌日は強烈に臭うという状態に翻ろうされていた。
私は頭をひねるばかり。
「とにかく母がいけない」私はつぶやいていた。
ある日妻が、「臭いの原因が分かった」と言った。
ネズミのミイラでもついに発見されたのだろうと、私は身構えた。
「それがね、排水口から臭いが吹き上がってくるの」と妻。
「はぁ? 排水口… 外からの臭いだったのか…」と私。
排水口に鼻を近付けると、強烈な悪臭。しかも、排水口から風が出ていて、臭いが吹き上ってくる感じ。
今までの濡れ衣が晴れて、嬉しそうな母。
ばつの悪い私。
悪臭発生の仕組み
下の「配管図」は、今回のテーマに限って図式化したものだ。実際にはもっと沢山の配管が走る。
わが家は浄化槽を使っている。生活排水は全て浄化槽に入り、「排水マスNo.1」を通って側溝に流れる。
図で青色で表した水の流れだ。
一方、勝手口に付いている排水口から流れた水は、「排水マスNo.3」に溜まり、
更に「排水マスNo.2」を経由して、浄化槽からの排水と「排水マスNo.1」で合流して側溝に流れる。
図では緑色の流れで表している。
水は最終的に側溝に流れ着くわけだが、配管は決して水が充満しているわけではなく、空気も流れている。
つまり、風向きによっては「排水マスNo.3」の中の空気は勝手口の排水口から家の中に流れ込む。
更に「排水マスNo.3」は「No.2」や「No.1」とも繋がっており、浄化槽からの排水や側溝の悪臭も
逆流してくるのだ。こんなに空気が吹き込んでは気密性も保てやしない。
風の強い日には、排水口から勢いのある風が吹き込む。排水口が実は吸気口という裏の顔を持っていたことが判明した。
どおりで臭いわけだ。ドブのような臭いではなく、まさにドブの臭いが、家の中に漂っていたことになる。

対策:その1
上記の原因を書いたeメールをハイムに送った。
送った相手は現場監督・営業・設計の3人。メールしたのは入居から実に半年過ぎてのことだった。
半年間もあの悪臭をよく我慢したと思う。原因が家にあるとは考えもしなかったので、発見が遅れた。
母の荷物がなければ、原因調査をもっと早くハイムに依頼したことだろう。
私は排水口を塞いでもらうつもりでeメールを書いた。母がいくら雨に濡れていても、この排水口から排水しなければ
ならないほど、勝手口が水浸しになることはなかったからだ。
早速、現場監督から電話が来た。監督は穴を塞ぐのは簡単だけど勿体ないので、排水口からの配管の先を
「排水マスNo.3」の水の中まで伸ばしたいと提案してきた。
そうすると、水は流れるが、水面が配管のフタの役割をして空気の流れはシャットアウトされる。
このような配管を曲げて下水道の悪臭やガスが逆流するのを防ぐしくみを、トラップと呼ぶようだ。
「頭いいね。それでやって下さい」と私。
「はい、至急させていただきます」と監督。
数日して、「作業完了」の報告が監督からあり、2006年のGW明けに悪臭はパタリと止んだ。
もっと早く原因を見つけられなかったことを悔いたが、夏が始まる前に悪臭をシャットアウトできたことは幸いだった。
しばらくしてから、悪臭事件をHPの記事にしようと思いながら、デジカメを片手に「排水マスNo.3」のフタを開けてみた。
ガーン。予想していた作業跡が全くなかった。何も作業がしてなかったのだ。(写真3の状態)
「どういうことのなだろう? 臭いが消えたと思ったのは自己暗示なのだろうか…」いくら考えても答えが出ない。
幽霊に出会ったとしたら、こんな気分なんだろうと思った。どうして、この件は謎ばかりなのだろう。
その場から携帯電話で監督に電話した。
「何も作業がしてないんだけど…どうなってんの? 臭いは止まったし、ワケが分からないよ」と感情をぶつけた。
「はぁ。作業は終了したと、報告が来ています。臭いも止んだわけですし」と監督。
「じゃあ、何やったのか教えててよ。気持ち悪いよ」と私。
「他の排水マスに細工したのかもしれません」と意外な話をする監督。
慌てて、他の排水マスのフタを開けまくる私。
「あったー、こんな所に細工してあるよ」と私。
何と「排水マスNo.2」に臭いを断ち切る細工がしてあった。
「あーあ、臭いはこれでいいけど、これじゃ気密性が保てないよ。初めに予定したマスに作業してくれますか」と私。
「はい。再度手配します」と監督。

対策:その2
監督の電話の直後に作業が行われていれば、数ヶ月前にこの記事は公表されていたはずだった。
悪臭が止まって緊急性がなくなったので、関心がなくなった。
時々思い出したが「監督に言うのも面倒だぁ。またの機会でいいや」という気分になっていた。
私の場合、緊急性のない依頼は、ほったらかされても全く気にならない。
しかし、アフターさんから1年点検の電話が来たので、その件を伝えた。
「はい。すぐにやります」とアフターさんの返事。
数日後に作業は簡単に終わった。具体的には「排水マスNo.3」にトラップが施された。(写真5の状態)
かくして、入居して1年近い時間が流れたが、異臭事件は完全に全面解決となったのだった。めでたし、めでたし。

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 hints
家族を疑うよりもハイムを疑おう。
臭いもにはフタをせず、時々は排水マスを開けて中を確認しよう。新しい発見があるかもしれない。
普通は溜まった泥を発見することになる。

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