建築の記録 工事記録
補修・検査

間近

 玄関ポーチの天井
一軒の家を作るとなれば、大小合わすと数多くの不具合が出てくる。
壁のちょっとした汚れは、軽く拭けば直ってしまう程度の簡単な問題。
もし壁に傷があって壁紙が破れていれば、直すのに少し手こずるかもしれない。
ここでは不具合の一例として、わが家の玄関ポーチの天井のことを書こう。
下の写真1を見ていただきたい。1階の大工さんが玄関ポーチの天井を張った後の様子。 ボードに何箇所も傷や汚れがある。この写真のフォーカスの外にも傷があった。見上げれば誰でも気付く。 大工さんが張る時に傷付けたのではなく、初めから傷のあるボードを張ったようだ。
「傷が気になるんだけど…」と1階の大工さんに言ってみる。
「ああ、それですね。修復しますから…」と対応する大工さん。
「本当? 修復で分からなくなる? あとが残るんじゃないの?」と迫る。心の中では修復じゃ無理だと思っている。
「ええ、あのぅ、問題があれば現場監督に言っていただければ…」と大工さん。
この辺りが、職人さんとの駆け引きの難しさだ。職人さんも都合が悪くなると監督に責任転嫁する。 もし大工さんが傷のあるボードを張っている現場に居合わせたなら、作業をSTOPしてもらったのに。残念だ。
「こんなもん、修復じゃ直らん。張り替えてもらえや。セキスイに舐められちゃイカンぞ」と友人の庭師が言う。
どうも玄関周辺の天井にはトラブルが多いなと思いながら西野さんに電話する。彼も傷のことは承知しているようだ。
「修復します」と西野さん。
「直るの? 完全に?」と疑っている私。
「はい。分からなくなります」と西野さん。
「駄目だったら、ボード替えてくれる?」と確認する私。
「きれいに直しますので、やらせて下さい」と西野さん。
そう言われると、一方的に「替えろ」と強く出れない私。でも内心では、どうせ完璧にはキレイにできないだろうから、 後で替えさせようと思っている。
 写真1 四箇所に傷が…  写真2 補修しても分かる  写真3 完璧に直った

数日後に行くと修復してある。それが写真2だ。修復してある箇所が、バレバレ。ムカッとくる。
「西野君、俺を馬鹿にしてもらっちゃ困るゼ。こんなんじゃ駄目だ。とっとと交換しろ。交換…」と ハードボイルド風の予行演習しながら西野さんに電話する。
「あ、西野さん、お世話になります。Davidです。あのぅ、ポーチの天井のことですけど…」と練習通りには話せない私。
西野さんが言うには、修復は途中とのこと。次に仕上げをすれば、全く分からなくなるという返事。
それから更に数日後。ポーチを見上げるが、全く補修箇所が分からない。完璧だ。負けた…
西野さんに電話する。
「すごいね。きれいだね。でも数年後に補修箇所が欠けてきたり、目立ったりするんじゃないの?」と食い下がる私。
「99%、それはありませんので安心して下さい」と西野さん。
このようにして、このトラブルは私の完敗で終わった。それで良かったのだ。

 検査
工事の終わりが近付くと職人さんも現場監督も「検査の日」を気にしだす。セキスイハイムの検査専門の担当者が来て、 工事の不備を指摘することを「検査」と呼ぶようだ。学生時代の試験のように、彼らにとっては嫌なものらしい。
私の家を完成するということより、その試験にパスすることの方が重要な意味を持っていると分かる。少し寂しい。
階段の手摺の木ねじが、雑で気になっている箇所があった。それを西野さんに言うと、
「この木ねじの取り付けは駄目ですね。これなら必ず検査で引っかかりますから、直されます」との返事。
「そうなんだ。検査って何箇所くらいの問題を指摘されるの?」と私。
「普通の家で、数十箇所ですね。百箇所はいかないですけど。沢山の改善命令が出されます」と西野さん。
なるほど、皆が嫌がるはずだ。逆に言えば、検査が厳しいほど施主の利益になるということだ。
検査当日に私は現場に行けなかった。その日の様子を妻に聞く。
「直す箇所に目印のテープを、ペタペタ貼っていたわ。そこら中にいっぱい。床や壁を這い回るように見てチェックしていた」と妻。
数日後には、そのチェックのテープも全部剥がされて、修正が終わったことが分かる。
その後にフロアー全体にワックス掛けの作業が始まる。やがてワックスも乾き、全ての作業が終了した。
ドマーニの完成だ。


 hints
大きな不具合に目を奪われないようにしよう。それらは検査でも必ず発見され修正されるはず。 チェックするなら、細かい箇所だ。
そこに何十枚でもポストイットを貼り付けてしまおう。


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いよいよ間もなくね