どうせ降るなら、おもいっきり降って…
建築の記録 工事記録
据付前日

明日はいよいよ・・・

 YES or NO?
据付の日程は、かなり前から8月31日と決まっていた。
間近になり足場が組まれたり、仮設トイレも設置されたり、着々と準備が進んだ。
一週間くらい前から、インターネットで天気予報を確認し始めた。
予想は晴れになったり、雨になったりと安定しなかった。
二日くらい前の予報では、雨の確率が少し高くなった。
もし降ったとしても小雨程度の予報。判断が難しい。
私は、雨の不安があるなら止めた方が賢明かもしれないかな…、と迷っていた。
でも、ハイム側から強く作業実施を言われたら断るのが難しいのかもと、気をもんでいた。
企業としては延期すれば金額的な損失があるだろから。
前日の午前中、現場監督の西野さんから携帯に電話が入る。
「明日は雨の可能性がありますから、延期しましょう」と、あっさり西野さん。
実施の判断は最終的には私がすると思っていたので、西野さんからのNGに拍子抜けした。
考えてみれば、何台ものトラックやクレーン、多くの職人さんが、明日の作業に向けて
スタンバイしていることが無駄になってしまうのだ。
でも、ハイムは安心を優先するということが分かった。
建物が大切に扱われているようで嬉しかった。
「はい。分かりました。それで、次の据付の日程はいつになるのかな?」と私。
「9月6日はいかがでしょう」と西野さん。
「その前は無理なんだよね」と確認する私。
「その日が最短です」
「じゃあ、それでお願い」と、電話は短くビジネスライクに終わる。
妻に携帯メールで変更を連絡する。妻から「了解」の返信。
これで、据付は9月6日。
 据付までに準備された足場  結構高い 内緒で登った

 日柄?
一週間の遅れに意識を切り替えようとしていると、妻から再度携帯メール。
「9月6日は仏滅だから絶対駄目とお義母さんが叫んでいる」という内容。
「はぁ、仏滅? なんじゃそりゃ? うちクリスチャンやねん」と思う。
それから母と西野さんに何度も電話して、日程を調整する。母に対しては、むっとしながらの電話になる。
「出来るなら大安がいい」と母。
「一ヵ月後になっても大安がいいの?」と意地悪な私。
「お義母さんの気持ちも汲んであげて」と妻からのアシストメールが途中で入る。
最終的には、9月6日よりも数日遅れた日に据付をすることに落ち着く。
ビジネスライクでない調整に疲れを覚えた。

 台風?
一夜明けて、8月31日。曇ったが雨は降らなかった。もし据付をしていたら、日差しを避けて最適な日だったはず。 でも安全を優先したことは良かったと思う。理性が納得している。感情は残念がっていた。
手持ち無沙汰の一週間。「待て」と言われた犬の気分。
続いて仏滅の9月6日になった。この日は台風の影響で据付どころではなかった。大雨、大風。 現場に残されたままの足場も強風に備えて、梁を増やしたりシートを巻き上げた。
母は、やっぱりこの日にしなくて正解だったという自慢げな顔をしている。

 二回目の据付前日
「台風も行ってしまいそうなので、明日は決行です」と西野さんから電話が入る。
「雨は大丈夫だけど、風は残るみたいだね。風が強いと良くないんでしょ」とHPで仕入れた情報を根拠に話す私。
「はい。風には十分に気をつけて工事しますので、安心して下さい」と彼。
「よろしく」と電話を切った。
何日も待たされたので、据付への期待が更に高まっている。
夕方現場に行ってみると、ベタ基礎の一部に水が溜まっている。 台風の大雨は、基礎の水抜き穴から外に排出されたのだが、どうしても水が残る部分がある。
慌てて、アパートからチリ取り・バケツ・雑巾を持って来る。 基礎の中に残った水を丁寧に取り去る。自分の家への愛着を感じるので作業が楽しい。
大量の水ではないので、このまま据付ても大丈夫かもしれない。 またもし問題があればハイムが直前に汲み出すだろう。でも自分で作業をしたかった。 据付前に少しでもカラカラにしておきたかった。
作業をしていると、知った顔が自転車でゆっくりと近寄ってくる。基礎工事をしてくれた同じ町内に住む職人さんだ。
「据付が終わっているかなと思って見に来たんですけど」と彼。
「一回延期してね。明日の予定です」と私。
「自分で水を出してるの?」と彼。
「うん。少しでも乾かしておこうと思ってね。ところで基礎を自分で計測してみたんだけど、スゴイ正確だよね」と私。
「うん。ユニットが乗らないじゃ困りますから」と彼。
世間話をしてから、また自転車でノロノロ帰って行った。
そして、据付当日の朝。快晴。濡れていた基礎は、台風の名残の風も影響してカラカラに乾いた。


 hints
天気が悪くても焦らないこと。
この日の為に休みを取ったりしていると、どうしてもこの日に据付したい気持ちは良く分かるが、 きっぱりと諦めよう。
複数回延期が続いた場合は「すごい確率だ」と単純に喜ぼう。あなたが悩んでも天候は変わらない。


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