入居後 入居後
タイルの割れ

形あるものは、必ず壊れるのか?

 ライフサイクルコスト
セキスイハイムのメリットは「ライフサイクルコスト」だと言われる。
セキスイハイムの家は安くない。
しかし建てた後に掛かる維持費が極めて安い。
それで、施主が生涯に払う費用(ライフサイクルコスト)が結果的に安くなるという考え方だ。
私もこのコンセプトには共感する。
また、それが同時に地球に優しいことですと言われると、 自分が善良な人間になったかのような心地良さを味わうこともできる。
しかし「ライフサイクルコスト」が実際には、ケチ臭い発想なのか、賢い考えなのか、 あるいは本当に地球に優しいのかは、私には断定できない。
この「ライフサイクルコスト」を強力に推進するアイテムとして、タイル外壁・ステンレス屋根・ ZAMメッキ鋼板ユニットなどが挙げられる。タイル外壁は半永久的な耐久性があり、 ステンレス屋根は60年の耐久性、ZAMメッキ鋼板は約148年の耐用年数だ。 つまり40歳台で鉄骨ハイムの家を建てた施主は、かなり長生きしたとしても、 これらのメンテナンス費用を自分が支払うことは無い。嬉しいような悲しいような気分だ。

 あれ…? そんなバカな…
入居して半年が過ぎた2006年5月のある日のこと。私は、数センチの三角形のカケラが犬走りの上に落ちているのを見つけた。 どう見ても、タイル外壁と同じ素材だった。とても嫌な予感に支配されながら、落ちていたカケラの上の方に目線を移してみた。 見たくない光景が、そこにはあった。半永久的な耐久性を持っているはずのタイルが割れていた。
この時のショックは大きかった。私の中ではタイルは頑丈で決して割れないはずの素材だったのだ。 工場見学会で、阪神大震災より強い揺れで何千回も振動させられている耐震実験用のユニットの中に入って、擬似地震を体験した。 ユニットに貼られていたタイルは、一枚も剥がれたり割れたりしなかった。
太陽が西から昇ることがあっても、タイルは割れないと思っていたのだった。
私が動揺している時に、運悪く友人の庭師が外構の仕事で来ていた。
「何だ? どうかしたか?」と庭師。
「タイルが割れた」
「はぁ〜? この前、絶対にタイルは割れないって、スゲェ自慢してたじゃないか! やっぱり割れるんだぁ」と嬉しそう。
昔からの友達は、こういう時には、ここぞとばかりにキツイ言い方をする。
 写真1 タイル外壁  写真2 落下した破片  写真3 割れたタイル


 修理
ハイムに連絡すると、アフターの方が比較的早く来て下さった。 写真4にあるように、まず残ったタイルをきれいに取り去った。 写真を見ると五寸釘のような道具と金づちを使ってタイルを剥がしているのが分かる。ノミも使っていた。 その後、新しいタイルを接着剤で貼り付け、 写真5にあるように、ガムテープでタイルをしっかり固定。翌日にガムテープを剥がして作業終了というものだった。
直った状態が写真6で、割れていた箇所がどこかも分からない。
 写真4 除去されるタイル  写真5 養生中のタイル  写真6 修理完了


 原因
タイルが割れた原因を考えてみた。
隣の家が近くまで迫っている場所なので、何かが当たって割れるような場所ではない。
これは予想でしかないが、据付完了時点で既にタイルは割れていたのではないかと思う。 割れていたが、その部分は落ちずにしばらく付いていたのだと思う。それが半年して、雨などの影響で落下したのではないか。 現場監督とも話をしてみたが、監督の考えも同じようなものだった。 割れたタイルはユニットの端にあるので、運搬中か据付中にぶつけて破損した可能性が高いと思う。
実は建築中に、別の箇所でタイルの欠けを1枚発見していた。しかし、引渡し時点ではきれいに直っていた。 工場では厳しいチェックをしているので、欠けたままのタイルで出荷されることは考え難い。 割れるとすれば、運搬か据付の途中の可能性が高い。

 破損の可能性
わが家のタイルの枚数を大雑把に数えてみた。数千枚だと考えていたが、2万枚以上のタイルが貼られているようだ。 仮に25,000枚のタイルがあるとすると、半年間で割れた確率は0.004%になる。 限りなくゼロに近い数字だ。
割れた時には慌てたが、落ち着いて考えれば「ライフサイクルコスト」の コンセプトが揺らぐものではなかった。


 hints
どんなに完璧と思われるものでも、100%ということはない。
過剰に反応しないことも重要だ。 壊れれば、直せばいいのだ。
壊れないものがないのと同様に、修理できないものもない。


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