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新たに買ったもの
あれも欲しい、これも欲しい、もっと欲しい、もっともっと欲しい
物欲
何かを手にいることにより、人間の心は満足し充足するのだろうか?
実は、そういう人はあまりいない。何かを手に入れれば、次の何かを手に入れたくなるのが人間の習性だ。
欲しかった物を手に入れることが満足感を生み出すのでなく、新たな渇望感を生み出してしまう。
その根本的な病理を、私を含め多くの人が忘れていることの何と多いことか。
手に入れた何かに満足せず、まだ手に入れてない何かを求めて、欲望は飽くことを知らない。
そして高貴な精神は、いつの間にか物質に蝕まれてしまう。心は物質で満たされないことを悟ることすらできない。
家の完成後、いろんな物を買った。ここでは、住宅に関係したアイテムの中から数点に絞って記録しておこう。
ソファとリビングテーブル:第一楽章
ソファは入居前から嫌というほど見歩いた。家の完成が近づいた週末の土日のどちからかは
必ず家具屋を巡礼していた。車で1時間以内の大きな家具屋には軒並み行った。
妻となかなか意見が一致しない。ソファーで歩み寄りができたとしても、リビングテーブルが原因で物別れ。
逆にリビングテーブルから決めようとしても、ソファが決まらないから話が進まない。
入居前には買っておきたいと思ったのに、入居して1ヶ月経っても決まらない状況が続いていた。
逆にその間は、広いリビングを楽しむことができた。もしかして、ソファなんて要らないのかも?
11月初めに入居したのに、ソファ探しは木枯らしの吹き荒れる季節に突入した。心も何だか寒い。
私も妻も子供たちもそろそろ限界に近づいていた。 ソファを決めた時の心理状態は、そのソファに納得したというよりも、
力が尽きたといった方が正確なような気がする。マイナスポイントの少ないソファではあった。
新年には滑り込みでなんとか間に合った。
しかし、リビングテーブルの選定は年を越した。どれもピンと来なかった。
結局、新しいソファの前には、旧家からの古いコタツ・テーブルが置かれたままだった。

年が明けて、リビングテーブル探しに充当するエネルギーが残っていないことに気づいた。
時間と体力と集中力を湯水のように使う家具屋巡礼がバカらしかった。ソファは座り心地が大切だから実物に触れて、座ってみなければ
分からない。でも、テーブルは形が命なので写真で十分だ。そこで巡礼をインターネットに切り替えた。
探している中で「写真2」の画像が印象に残った。私の大好きな丸型だ。
デザインも色合いも、二重になった天板も理想的だった。
しかし、どうしても気になる点があった。価格だ。
価格だけが、私の想定範囲を大きく逸脱していた。それまでは2〜3万円くらいテーブルを探していた。
しかし、このテーブルは、本体価格が7,800円で、送料が1,500円、合計価格が9,300円だった。はぁ?
安い、あまりに安すぎる。ドマーニとも不釣合いだ。届いた実物が粗悪品かもしれない。
結局、注文した。価格ではなくテーブル自体が気に入ったから。もし、ダメでも1万円以下なら悔しくないだろうし、
気に入らなければ誰かにあげてもいいという意識だった。
数日後に届いたテーブルを組み立てて、私は上機嫌だった。
「スゴクいい!」まさに私が欲しかったテーブルだった。
どこの家具屋でも見つけることができなかった理想的なテーブル。高ければ必ずしも良いとは限らない。
ソファとリビングテーブル:第二楽章
こうして2006年の初めの段階で、広かったリビングは狭くなった。少し寂しかった。
しかし、楽曲「ソファとリビングテーブル」には第二楽章があった。
まずは、リビングテーブルのトラブル。使い始めて一ヶ月ほどした日のこと。
「パパ、テーブルがこわれた」と娘が言った。見てみると、1本の脚が外れていた。実は、送られていたテーブルを組み立てる時から
気になっていたのだか、ネジ切りの長さがナットとしっかり固定されるには短いように感じていた。
苦労してはめ直しても、テーブルに大きな力が掛かると脚が外れてしまうことが分かった。
「あーあ。9,300円だから、しょうがないかぁ… あー、残念。インターネットはやっぱりダメか…」
1ヶ月使ったから返品は無理かな… これじゃ誰かにあげることもできないし…
購入した会社にメールした。2〜3日で返事があり、新しい脚を送るので、それで試して欲しいと書いてあった。
4本の新しい脚が届き、装着してみるとしっかりした感じだ。それから2年が過ぎようとしているが、問題は再発していない。
次はソファの話。同じソファは買った店以外で見たことはない。誰かの家でも見たことはない。
ギリギリの妥協で選んだにしては、偏差値の高い妥協点だといえる。
妻のお姉さんの家に行った時のこと。前まで古かったソファが新品に替わっていた。しかも、どこかで見覚えのある…
「何でだよ!」座りながら思いっきり叫ぶ。
離れた別の店で買った。でも、同じメーカーの同じ色の全く同じソファだった。お互いの情報を何も知らずに偶然に同じソファを買ってしまった。
この手の偶然と運命のいたずらには、時々出くわすので、いまさら飛び上がるほど驚きはしないけどね。
お姉さんの家に行くと、ドマーニのリビングがデジャヴで重なる。
2段ベッド
「新しい家に住んだら、ベッドでねたい」子供達は、そう言い続けていた。
「じゃあ、自分達で好きなベッドを選んでね」と言っていた。延々と家具屋巡りに付き合わせる口実にもなる。
初めは同じ部屋の2段ベッドで寝て、適当な時期になったら上下を分離して、それぞれの部屋で使うというシナリオにした。
家具屋で2段ベッドを見て、目をキラキラさせる子供達。その間に妻とソファのリビングテーブルの吟味をする。
しかし、子供達の時間がそんなに持つわけではない。すぐに飽きてしまう。仕方ないので、子供とかくれんぼをしながらソファ探しをする。
2段なんてどれでも同じかと思うと、実際には値段が随分と違う。
「宮付きですと、やっぱり高くなります」と店員が説明する。
宮付きとは、頭のところに小物や時計などを置ける棚のあるタイプのことだと説明してくれた。
照明が付くと更に値段も高くなるとのこと。
「ここに棚は要らないよね?」と子供達に確認すると、
「欲し〜い! 絶対に欲しい。あかりも欲しい」と主張する。あーあ、誰に似た?
そんな知恵を付ける前に、宮無しの安いベッドを買ってしまえば良かったと後悔する。
写真3をご覧いただきたい。2つの子供室は縦長で似たレイアウトだけど、片方の幅が216cm、もう一方が246cmある。
青い四角のようにベッドを置くとすると、子供室1では216cmより短いベッドでないとダメだ。
この216cmは現場で実際に計測した。図面では正確な距離は分からないから。
家具屋に行くと、メジャーを素早く取り出して2段ベッドの長さを測る。宮付きのサイズは、230cm…240cm…235cm…
216cmより短いのが無い。宮無しなら沢山ある。しかし宮付きはいくら短くても220cmを超えたものばかりだった。
何軒もの家具屋を訪問しても絶対に無かった。
「部屋に入らないから、棚のないベッドにしよう」と子供達に言うが、納得しない。頑固だ。はーあ、誰に似た?
宮付きだとサイズ的に無理だろうと、どの店でも言われた。奥行きの狭い棚じゃ確かに意味がないと思う。
結局、ドマーニに住んでからも子供達は布団で寝ることになった。
「ベッドでねたい」年下の娘は、そう言い続けた。年上の息子は宮付きを諦めないとダメだと理解しつつあるようだった。
上で説明した丸型二重天板テーブルをインターネットで買う時に、2段ベッドを検索してみた。やっぱり216cmより短い宮付きベッドは見つからなかった。
しかし、丹念に探すと1点だけヒットした。「80ミリのしっかりした太柱棚とライト付き二段ベッド」といううたい文句だった。
サイズは213cm×106cmと書いてあった。たった3cmだが隙間ができる。送料込みの金額は43,115円だった。正直なところ、考えていた予算よりも高くなった。
でも、部屋のサイズに合うのは、それしか無い。仕方ないな。
我慢して家具屋巡礼の苦行に同行してくれた子供達の為に、それを買うことにした。

子供達に「もうすぐ2段ベッドが届くよ」と話した。二人ともとても嬉しそうだった。特に娘は満面の笑みを浮かべて鼻歌を歌っていた。
数日して大きな箱が何箱も届いた。いままで、急便で受け取った荷物の中で最も大きな荷物だった。
マニュアルを見ながら組み立てていく。大きくて重たいので、組み立ても大変な作業だ。ネジをしっかりと丁寧に締めていく。
私の作業を娘の花が興味深そうに見ている。待ち遠しくて堪らないのだ。
「今日からベッドで寝れるんだね?」と確認してくる。
「うん。花ちゃんが我慢して待っていたから、棚も電気もあるベッドを神様がプレゼントしてくれたんだね」と答えた。
「ありがとう。イエス様」娘は神様に感謝しながら上機嫌だった。
組み立て作業は子供室2でやった。2段ベッドは子供室2に置くことにした。数年後に上下を分離して、半分を少し狭い子供室1に移す予定だ。
数時間を掛けてやっと組みあがった。念のために、子供室1に入るサイズかどうかをメジャーで一応確認してみた。
「何だこりゃ! ダメじゃん!!」
怒りと落胆が混じった声を上げた。2段ベッドはカタログ通りの213cmではなく、なんと216cmちょっとあった。目の前が真っ白になった。
このベッドは使えない。将来、子供部屋1に入れるにはほんの少し大きいから。
沸々と怒りがこみ上げて来た。子供の気持ちを思うと許せなかった。
購入した会社に電話するが、休みのために誰も出ない。
返品するしかないが、この巨大な荷物を分解することを考えると気分が重くなった。
更に、入っていたダンボール箱に戻せる自信もなかった。
とりあえず、困っている状況を書いてメールしておいた。
完成したベッドを見て、子供達ははしゃいでいた。自分の布団を運んで来て寝るマネをしようとしていた。
「このベッドは返さなきゃいけないから使っちゃダメ。汚しちゃいけないから、触っちゃダメだよ」と強い口調で言った。
飛び跳ねていた娘の花が泣き出した。悔し泣きだった。目が「神様の意地悪!」と語っていた。おーい、誰に似た?
何度も娘はベッドを見ながら、諦めきれない顔をしていた。その晩は床の布団の中からベッドを見上げて寝ていた。
翌日、ベッドを購入した会社から電話が来た。サイズの表記ミスという言い逃れできない落ち度を詫びていた。
私は返品したいことや、子供達がガッカリしていることを伝えた。
すると、電話の相手は別のベッドを私がどこかで買うにしても、
それまでの期間は組み立てたベッドを使ってもらっていいという申し出だった。
その提案はとても有り難かった。
「ありがとう。とりあえず今晩は子供達は、待ち望んだベッドで寝ることができます」と感謝した。
電話の相手は、返品されても他に売ることもできないので、値引くので引き取ってくれないかという提案が出た。
将来に半分は使えなくなくなるようなベッドを買っても困るという思いと、面倒だから安く買っちゃおうかという
思いが交錯した。
少し悩んだが「半分の価値しかないのだから、半額なら買います」と言ってみた。
「その条件なら多分OKだと思いますが、上司に確認してから後日連絡します。全て片付くまでは、そのベッドを使って下さい」という返事。
その晩の子供達の幸せそうな顔は忘れられない。
数日してから、その会社からメールが入った。半額は無理なので、25%の値引きで買ってもらえないかという上司の判断が書いてあった。
私は、それなら返品すると書いた。実際のところ、その金額なら他にも同じようなベッドは沢山あった。もちろん、どれも子供室1には入らないけど。
数日待たされた後に、やっと半額でお受けしますという返事が来た。
今でもそのベッドの上下で子供達は寝ている。息子が下で娘が上だ。
毎晩、子供達が横になったところで、一緒に神様にお祈りしている。
「天の父なる神よ、あなたの名前が崇められますように。あなたの計画が天で行われるのと同じように、地上でも行われますように…」
心の中で思う。子供達よ、パパはお前達の望みを叶えてあげることはできないけど、神様は常に最善をなしてくださると信じているよ。
家電
新しい家には新しい電化製品が似合う。確かにそう思うけど、お金には限りがある。
しかし壊れてしまえば買い換えるしかない。炊飯器と洗濯機がそうだった。新しい物が欲しかったわけではない。
炊飯器は入居後すぐに壊れた。お金が出て行くばかりだったので、新品の炊飯器を見ても嬉しくなかった。
洗濯機は入居して1年後に壊れた。買ってから8年間で壊れたことになる。ちょっと早いような気がした。
新しく買ったのはドラム式洗濯乾燥機、東芝製。インターネット価格も調べたが、市内の家電量販店で安く買えた。
カッコいいし、音も静かだし、水の使用量も少ないので嬉しい。
数年間使えば、節約した水道代と電気代で購入代金がチャラになるような話も聞いた。ハイムがPVを載せることを
勧めるトークと似ている気がした。
タオルウォーマーは、入居後すぐに買った。寒い時期にタオルを暖めてくれる嬉しいヤツだ。
インターネットで12,115円。
ドイツ製でDBK社というメーカーのもの。社名の最初の「D」は「DAVID」の頭文字の
Dだと今回調べていて分かった。2倍嬉しい。
高さは90cmくらい。結構大きくて金ピカだ。1時間の電気代が3円くらいらしい。
冬には最適です。あなたもどうですか?

最後は、フロアスタンド。インターネットでブラブラしていて見つけた製品。
完全に一目ぼれ。私が買うために作られた製品だと一瞬にしてインスピレーションが走った。
考える間もなく購入。微塵も迷わずに買った物は、後にも先にもこのフロアスタンドだけかもしれない。
お支払合計は8,631円。高さは170cmくらい。花をイメージする3灯のライトの角度が素敵。繊細だけどしっかりした造り。
玄関ホールで、夜はこのスタンドの灯りだけにすることもあります。
Davidのお勧めです。あなたもどうですか?

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 hints
家具の購入には、部屋の大きさを確認しよう。製品の大きさを測ってから、
家に戻り、対象の家具の存在感を仮想的にイメージしてみよう。

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