建築の記録 工事記録
起工式 (キリスト教式)

さて、いよいよだ・・・

 庭師との会話
神道の地鎮祭に相当する儀式を、キリスト教では起工式と呼ぶ。
「神道の地鎮祭って、どんな意味があるんだ?」と友人の庭師に訊いてみた。
「工事の無事と関係者の安全を祈願して、土地の神様をまつる儀式だ」と言う。
「土地の神様? その土地土地に個別の神様が住んでいるんか?」
「八百万の神だでね。日本のはさぁ」と彼。
「そんなのでいいのかね?」
「そんなことを真剣に考えているヤツはいないよ。みんな単なる風習でやってるだけだ」
「そんなもんかね?」
「そんなもんだ」
 砂の三角山、その右後ろは井戸  真夏 南側に隣接した家並み

 起工式
7月の終わりに起工式を行った。真夏だった。何もない自分の土地は広いようにも狭いようにも感じる。
準備は自分でする。まず式次第を作る。牧師とeメールで相談してメニューを決める。
賛美歌を2曲選んだ。まず「救い主イエスと」という妻の好きな曲。
2曲目は有名な「アメイジング・グレイス」。日本語のタイトルは「驚くばかりの」。 最近はTVにも流されてヒット曲にもなった。信仰を激白した英語の歌詞がそのままTVで流されることに驚いてしまう。
それから、この式の為に聖書から言葉を選ぶ。
通常の起工式では牧師が選ぶことが多いが、今回は「Davidさんが選んでください」ということになった。 旧約聖書から好きな箇所を選んだ。イザヤ書の12章。そこに次の言葉がある。
「あなたがたは喜びをもって、救いの井戸から水をくむ」
この言葉が、とてもぴったり来た。 「救いの井戸」とは神様のこと。「水」は簡単に言えば、信仰とか生きるための希望のことだと思う。
地下水脈は普通の視線では見えない。でも尽きない泉として、人々が生きるための大切な水を供給し続ける。
同じように私たちが毎日を生きるために、神様からの希望が継続して与えられていることを、 聖書のこの言葉は視覚的に表していると感じた。
私たちを取り巻く現実はきびしい。これから子供たちが生きていく時代は決して楽観視できるものではない。 でも砂漠のような状況の中でも、神からの希望の泉があるから、 私たち家族は生きていけるという信仰を、新しい家の基盤にしたいと思った。 実は、この言葉は英語でこのHPのトップページに書いてある。
このように… Therefore with joy shall ye draw water out of the wells of salvations.
さて、これで式次第は完成。最近買ったピクサスで打ち出した。
それから、当日の朝に起工式の鋤入れの小山を作った。準備完了。
Amazing Grace! How sweet the sound, That saved a wretch like me! I once was lost, but now am found, Was blind, but now I see. The earth shall soon dissolve like snow, The sun forbear to shine; But God, Who called me here below, Will be forever mine.
 式次第 表  式次第 裏


起工式参加者は11名。まず牧師夫妻。セキスイハイムから営業の西山さん、現場監督の西野さん、設計の森さん。 それから大工仕事の会社の方。そして私たち家族5人。
メニュー通りに30分くらいで式は無事完了した。
地鎮祭のような、意味不明な言葉や不思議な品物はない。あっさりと分かりやすいものだと思う。
「キリスト教式の起工式は初めてです」と西山さん。
「どうだった?」と私。
「はい、良かったです」と西山さん。彼は、心の中でどう思っていても、こういう返事をする。いい人かもしれないし、 典型的な営業マンかもしれない。
 起工式  地縄張り


 近所への挨拶(ハイムによる)
起工式の後で「近所に挨拶してきます」と西山さん。
「私も行こう…」と言うと
「いえ、セキスイハイムだけで挨拶してきます」と西山さん。
引渡しまでは建築工事に関わる全ての責任をセキスイハイムが負うので、 ハイム単独で近所へは挨拶しておきたいというスタンスのようだ。
「建築中に近隣とのトラブルが万一起こったとしても、それはハイムが全責任を負うトラブルであって、 施主様にご迷惑を掛けることは一切ありません」と西山さん。
やけに西山さんが頼もしく見える。解体業者が起こしたあのトラブルが頭をよぎる。
南の家のフェンスを指差しながら「自分で手配した解体業者がトラブルを起こして、ここがへこんでるでしょ。 壁もあそこに傷ができちゃって。 ご主人がちょっと不満みたいで…。解体業者の対応も遅いんだ。疲れるよ」とヒソヒソ声。
「はい。分かりました。そのことも承知したうえで近所に挨拶して来ます」と西山さん。西野さんと一緒に挨拶に行った。
「あ〜あ、やっぱ解体もハイムに頼めば良かったなぁ。あ〜あ」と無意味な後悔がリフレインする。

 地縄張り
起工式と一緒に、地縄張りをした。
「地縄張り」とは、図面を見ながら建物の形ににビニールひもを地面に張って、建物の位置を確認する作業。
建物面積は広いようにも狭いようにも感じる。 図面では幾度も確認してたのだが、実際の土地に立つと感覚は全く異なる。
さて、ここで問題を確認。井戸が意外に土地の内部に入っており、建物とぶつかってしまう。 南側の採光の為に、建物の南側は最大限広げるように計画したのだが、井戸とぶつからない為には 建物全体を10センチ南に移動する必要がある。採光にはマイナス。
しかし、井戸を残すためには仕方ないので、OKした。「建物10センチ南へ移動」と子声で号令する。
後日、建物を10センチ移動したことを庭師に話した。
「井戸を残すために、建物本体を動かすなんて本末転倒だ。おかしいよ」と彼。
井戸は、神の愛を暗示しているという崇高なテーマを語ったが、庭師は黙ったままだ。


 hints
キリスト教式の起工式なんてどうだろう?
近くのプロテスタント系の教会に頼めばやってくれるはず。
もし牧師が渋ったら、殺し文句はコレ
「わけの分からん神じゃなくて、唯一絶対の聖書の神様に新築する家の無事を祈ってほしい」


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ふーん。そんなことするんだ…